ウェブとかあれこれ

理想的なウェブの運用体制

よくご相談いただく言葉に、

「そんなこといったって、全部、私がやってるんで限界がありますよ!」

というのがある。まさにそのとおりなのだろう。なので、ウェブでの結果にも限界はあると認識してもらうしかない。夢の宝箱を見つけたのとは違うのだから。他には、

「私はそれでもういいんですけど、社長のOKが出ないんですよ。え?社長ですか?来月まで海外出張で戻ってきません。」

「このキャンペーンでいいのですが、来月まで営業会議はないので、実施するのは再来月ですかね。」

などなど。PDCAサイクルが一回転するのに半年ぐらいかかりそうだ・・・。こうなってくると、アクセス解析なども導入している意味が小さくなってくる。

それだけ困っていないというか、他の方法で満足されているということなので悪いことではない。

ただ、理想を言えば、ほど遠い。僕が考えるに、4種類の役割を持って運用をするのが理想。

1.決定権を持っている経営トップもしくはそれに順ずる人
2.プランニング含め、戦術を練ることのできる人
3.ルーチン的な作業を黙々と実施できる人
4.プロフェッショナルな作業を提供できる人

次回、具体的に掘り下げてみる。

ウェブサイト戦術の流れ

ウェブサイトをどうやって改善していけばいいかは何度も何度も相談を受けることでもあるので、あらためて簡単に整理します。もちろん、ケースバイケースですし、下記要素以外にも細やかにいろいろ対応が必要です。アウトソーシングで切り抜けることもありますし、やはり社内でやらなければならないことも多々あるでしょう。

■前準備
1.目的をはっきりさせる
  ・資料請求(営業見込み客の獲得)なのか、ブランド価値向上なのか?はたまた?
  ・エリアはどこに絞るか、商品は何に絞るか、対象は誰に絞るか?

2.アクセス解析の仕組みを徹底的に導入
  ・行っていく施策が正しかったかどうかの分析が必要です。

3.体制の準備
  ・目的に向かってホームページを運用していく社内外の体制を確認します。

4.Web標準化
  ・施策が最大限に活きてくるように、ウェブサイトをWeb標準化します。
  ・検索エンジン対策としても重要です。

■戦術の流れ
1.外部からの流入量を増やします。
  ・SEO対策
  ・リスティング広告(Google Adwordsなど)
  ・アフィリエイト
  ・リンク依頼
  ・バズマーケティング
  ・プレスリリース(ネット上+記者クラブへの投げ込みなど)
  
2.入ってきた見込み客に何がしかのアクションをおこしてもらいます。
  ・目的に向かって誘導するページの作成(LPO)
  ・相手別ページ
  ・適切なキャッチコピー
  ・わかりやすい、資料請求フォーム
  ・ハードルの低い構成(いきなり売りつけない)
  ・値段よりも、「情報」を伝える。
  ・モノよりも「人」を伝える。

3.資料請求なりをしてくれたお客様候補をお客様にする仕組みを作ります。
  ・資料送付
  ・メールニュース
  ・季節のはがき送付
  ・電話
  ・訪問

戦略七分、戦術三分

戦略七分、戦術三分、という言い方がありますが、戦略が間違ったままではどんなに最新の、最善の戦術を駆使したところで結果が出ない場合が多いです。主に、企業のウェブ担当者の方は、「戦術面」を勉強し、外部の協力も得ながら実行していくわけですが、着手した段階で、「七分」は失敗しているとしたらどうでしょう。

では、戦略は誰が担当するのでしょうか?

それは経営者になります。経営者が的確な戦略を描いて、組織の末端まで浸透を図り、その上で現場の方々が戦術を実行していくことが重要です。

では、ウェブの世界において、戦略とはどういったことでしょうか?

様々な要因があり、かつ企業によっても違うのですが、もっとも大事なことは、圧倒的シェア一位とか、超大手企業でもない限りにおいては、戦う場所の選択が重要です。ネットは確かに資本力の小さい企業でも参入できる戦場ですが、一瞬で比較される、検索されるという意味では、「インターネット」という大舞台に出て行くわけですから狭いエリアで局地戦を仕掛けるのもわきまえていないと難しくなります。

例えば、一般のどこにでも売っている書籍を販売しようと思っても、確かに本屋を作るまではすぐにできるでしょうが、大手のアマゾンなどと競争にさらされることになります。というか、競争している実感も無いまま終わるでしょう。

大手が参入してこないカテゴリー、まだまだ圧倒的一位が存在しない商材を選んで、しかも局地戦、局地戦を展開し、狭い範囲からじわじわやっていくのが正しい戦略といえます。どんなに商品が良くても、大手と同じ土俵で、大手と同じやり方で挑んでは失敗するのはリアルもネットも同じです。

売れる言葉の重要性

ネット系の雑誌でも売れる言葉の重要性が叫ばれています。SEOにしても他のマーケティングにしてもテクニックを超えたレベルで先に「言葉」が大事です。「言葉」を無視しては達成する成果も少なくなってしまうでしょう。

GoogleとYahoo!における最近のSEO対策の重要度リストがネットで出回っていますが、TITLEタグの重要性がどちらでも共通しています。キーワード選びこそそうなってくると大事ではあるのですが、TITLE内の言葉選び、また検索結果に表示された場合のMETAタグ内の情報など、やはり言葉が最重要です。

キーワードをたどってやってきた相手を明確にして、その方の目的をきちんと頭に入れて、その目的を達成するための情報を発信せねばなりません。ただ、情報までたどり着いてもらうためには誘導する「言葉」が大事です。「センスの無い担当者が言葉を選ぶと無理だ・・・」と思われるかもしれませんが、インターネットのよいところは結果が仮説を下回ったら、分析した上で、新たな「言葉」に切り替えたり、二つの言葉を同時に比べたりといった効果検証が容易なことです。

恐れずに、仮説検証を繰り返して、ゴールにまい進いたしましょう。

ネガティブ情報を迎え撃つ情報発信力

最近は、携帯、PC問わず、ネットの負の面ばかり取り上げるニュースが多く、実際、様々な規制が検討されている。「ネットはやっぱり怖い」とか「ネットは悪意に満ちている」などと思ってしまいそうな流れでもある。

企業のウェブサイト運営でも特に情報発信に力を入れてない企業様からは、

「まぁ、あるだけでいいんですよ」

という消極的な声も聞こえる。それはそれで真実だろう。ただ、ある企業で、ちょっとした商品の欠陥があった際、まずウェブサイトできちんと情報発信を積極的に行ったことで、早々に沈静化したことがあった。

事業を行っていれば、どうしても大小の失敗は発生する。その際、いかにきちんと情報発信をするかが問われるのは昨今の企業不祥事を見ていてもあきらかだ。隠蔽などを行おうとすれば、噂や憶測も含めて負の再生産が行われ、実態以上に企業はダメージを受ける。

また、何の根拠も無いことで商品や企業ブランドが狙われることもあるかもしれない。その際、普段からきちんと情報発信を積極的に進め、ネット内において一定のプレゼンスを行っておかないといけない。いざというときに急に慌ててみても、その「商品名」「ブランド名」で検索したら、ネガティブな情報が上位に並び、真実を述べたい企業発の情報は「ランク外」になるだけである。

ネットはコミュニケーション手段

お客様でない社外の人、つまりあまり僕たちの仕事に直接関わってない人と話をする時に、

「森田さんはIT業界ですけど、今はどんなパソコンがいいんですか?」

などと質問されることがある。僕自身は元々パソコンやワークステーションを売っていたのでそこそこ会話のネタもあるから話が続くけど、普通のウェブ制作会社の方は返事に困るだろう。ウェブは確かに「IT」を駆使したサービスだけど、「IT業界」の中のどこに位置づけるかなかなか難しい。

インターネットの進化が急速に進んだわけだが、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク自体は僕が15年前にコンピュータ業界で営業をやっていた時とそんなに変わらない。つまり、文房具としての「パソコン」や「ネット」は本質的には変わってないと思う。

ところが、コミュニケーション手段としての「ネット」は大いに進化した。地球の裏側の人とTwitterで微妙な距離感を楽しめるし、SNSやブログ、MLを駆使することでそれまで実現不可能な人の量と同時にコンタクトポイントを持つことが可能になった。映像や写真も手軽に届けることができる。汗をかいて出歩くよりも、家の中で引き篭もっていた方が、社会の多くの人と接することが可能かもしれない。

そういう意味ではネットの現在の役割は、文房具としての役割以上に、電話や手紙といった通信の部分が強い。もちろん、テレビや雑誌といった媒体の意味合いもあるが、「媒体」であることを意識しすぎて、「通信」、すなわち「コミュニケーション手段」の部分を軽んじてしまうと、インターネットの効果を充分に体感できないことになるだろう。

CMS導入はメリットだらけ

このウェブサイトの運営はもちろん一人で行っている。

ウェブの中における一定のプレゼンスは今の時代には必要と考えているし、勉強をしていく中でのアウトプットの場として自分のメディアを持っていくことはとても重要だ。

ただ、これを自分でHTMLから書いていたのでは、正直持たない。ブログ時代が到来したからこそできる運営管理だ。広い意味でCMSを導入することには多大なメリットがある。僕の場合、MTを選択しているのは、
下記の理由による。

・簡単に更新できること
・更新したことを広く伝達できること
 (Ping、RSSなど)
・MT以外は触らないでも可能なこと
 (デザイン変更以外はここ3年間、まったく触っていない)
・ユーザビリティが高いこと
・SEOが効くこと
・エントリー自体をデータベースとして活用できること

企業においても運用コストを激減させながらも効果を出すには、CMSの導入が重要な検討ポイントになるだろう。

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