放浪コラム

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NPO法人どんぐりネットワークに思う

酷暑の昨夏の2004年8月21日、NPO法人どんぐりネットワークの総会後に講演の時間をいただきました。諸先輩方を前に恐縮で、学ぶことの多さを実感した時間でした。暑い中、ありがとうございました。

下記は、その時の発言要旨です。尻切れトンボですが、追々追記します。

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どんぐりネットワークの今後には課題が山積している。県からの委託事業を中心に活動をしてきたわけだが、実際問題、財政厳しいこの時期、早ければ来年度予算からは県民参加の森作りに税金が投入されることは減るだろう。また、構成するスタッフも、新しいスタッフが常時供給されるような代謝にはなっておらず、組織としての活性化、拡大化がなく本来の目的達成には何がしかの対策が必要だ。特に、若い世代を取り込んでいかないと次世代のどんぐりネットワークの活動は厳しい。現在のベテラン世代の知恵を受け継ぐのは今がチャンスであろう。

組織には、

・経済的資本
・人的資本
・文化資本
・社会的資本

がある。この中で社会的資本とは「人々が相互に築く関係に内在する力」であり、人と人の関係性がもたらすメリットである。これは組織内外を問わない。普段会わない弱い関係の方からより良き情報を得たりすることも多いだろう。これはその組織が持っている社会的資本ともいえる。

社会的資本を築いていくとき、よく語られるのが「媒介中心性」だ。これは、人と人がネットワークとして関係していくとき、特定の人が繋ぎ役を担っていることが多い。ネットワーク図を作ってみて、何人にもの繋ぎ役を担っている人を、「媒介中心度」が高いと言う。

どんぐりネットワークへの関わり方にも、この媒介中心の考え方が当てはまる。ある日、あるよく参加している家族Aさんの子供のB君の友人C君が、ひとりだけAさん一家に混じって、どんぐりのイベントに参加する。C君は戻ってお母さんのDさんに楽しそうに話す。DさんはC君のきらきらした瞳を見て、次のイベントにAさん家族と一緒に参加すると決める。Dさんは参加してみてその面白さに驚き、次のイベントには夫のEさんと、別の家族Fさんファミリーを誘う。さらに、Dさんは、学校のPTAの活動もしていて、先生に話して、総合学習の実施場所にどんぐりランドを選んでもらう。Dさんはそれに留まらず、職場のお花見も、従来の宴会だけを中止して、どんぐりランドでクラフトも兼ねた家族参加の楽しいイベントを提案・・・。

というように、この場合はDさんが媒介中心度が高いわけだ。どこの組織にもこういう人はいて、この媒介中心度が高い人がどれだけ組織にいるか、どれぐらい元気かによって組織の活性化は違ってくるようだ。特に組織外への働きかけ度が高い人がいるかいないかで、その組織が閉鎖的かどうかが決まる。

どんぐりネットワークも、この媒介中心度が高い人が誰なのかを組織内を見渡して選び、その人物に積極的に動ける環境を提供することが求められる。その際、きちんとした「森と人間の関わり」を理想的に定義したNPO法人どんぐりネットワークの設立趣旨を深く理解しておくことが重要だ。だが、これは頭で理解したようでなかなか人に伝えたり、自分自身が体現できたりするものではない。

そこで僕が提言するのは、「森、木」の「媒介中心度」を高めるという方法。今でも擬人化されていないだけで、「森、木」があるから、どんぐりネットワークの人と人はつながっている。組織内における「森、木」の媒介中心度は最高値ともいえる。それを、普段から意識して、組織外の人と接するときも、その人と自分との間に「森、木」を置いて考える習慣を持ってはどうだろう。

古代ケルト語では、「木」と「学ぶ」は同義語だったそうだ。

2004年8月21日 森田桂治

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