06/212007

ナショナリズムという迷宮

佐藤優の本が次々に出てきて、追いつけん。元々魚住昭のジャーナリストとしてのスタンスが好きだったこともあり、本著は楽しく読めた。佐藤さんは現在、右からも左からも大人気な立場にあるが、僕が魅力を感じるのは、論理的な説明。キリスト教学と外交官時代に身に着けた能力と思うが、キリスト教社会が「原罪」を意識し、神様との交渉をし続けて窮地を脱しなければならないところからくる、交渉術、説得術に近いものがあるかもしれない。現代の僕たちは悲しいかな、欧米型の経済社会の論理の中で生きていかねばならず、そういった本来、宗教的にも身に着けていない、「交渉術」「説得術」を発揮しないと認められない。住みにくい時代だ。住みにくいなぁと思うからこそ、佐藤優の本が光ってみるのだろうか。

ナショナリズムという迷宮―ラスプーチンかく語りき
佐藤 優 魚住 昭
朝日新聞社 (2006/12)
売り上げランキング: 4168
おすすめ度の平均: 4.0
4 対談形式の現代社会思想分析
5 "国家の実体は官僚"
5 佐藤優氏の強固な論理構成力が紡ぐ世界への入り口

読み進めると、2年前の総選挙時の小泉政権圧勝時に感じた、なにか嫌な感覚、周囲の人がけっこう声高に、「コイズミさん、コイズミさん」と言ってた背景なんかも理解できる。次に、権力を持った側から、何か「優しさ」が感じられ始めたとき、その時が一番、考えどころなのだろう。

新保守主義と新自由主義の対立点など、よくわからなかったことも理解できた。皆様もぜひどうぞ。

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