06/052013

ペンギンハイウェイの「お姉さん」は青春の幻影

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
森見 登美彦
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-11-22)
売り上げランキング: 6,472

このペンギンハイウェイの主人公の「アオヤマ君」が我が家の息子と似ているという話を知人から聞いてさっそく読みました。アオヤマ君ぐらい背伸びして欲しいなぁと思いつつ楽しく読み進めましたよ。

銀河鉄道999や1000年女王のように、「謎のある大人な女性」と「大人に向かう少年」の切ない話。といっても松本作品のような俗っぽさはなくって爽やかな読後感でした。けど、一言で言うとやはり、

「さらば青春の幻影」

かなぁと。

読んでる最中に「お姉さん」の具体的な顔のイメージを、僕の知ってる知人や女優さんで思い浮かべようと思ってもなかなか難しい。もどかしいぐらい。まさに幻影ですね。

「メーテル」も「お姉さん」も母性の象徴だと思うんです。メーテルは鉄郎のお母さんと瓜二つだったり、お姉さんのおっぱいが強調されてたり。アオヤマ君の実のお母さんの描写が少ないですが、母性と言う点ではお姉さんなんだろうと。

少年は母性を無意識に感じながら大人の女性に憧れ、そしてそれが切ない「青春の幻影」だと知る中で大人になっていく。実はそれは真の「母親」からの自立でもあるわけです。

「青春の幻影」であるお姉さんは少年を大人へと導き、そして・・・。

描写の少ないお母さんに比べて、アオヤマ君のお父さんは重要な役割をしています。大人の男へいざなうのですが、立ち位置が近からず遠からずでアドバイスも絶妙。これは間違いなくお父さんも子供の頃に「青春の幻影」を経験していますね(笑)

僕は残念ながらアオヤマ君ぐらいの歳にそんな経験はなかったのですが、息子には近からず遠からずでいろいろアドバイスしていきたいなぁと感じました。

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