Gofield.com編集長の弁

拘束力のない団体こそガバナンスの再構築を

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10年以上前から何度か言ったり書いたりしてきたことですが。

会社や学校は就業規則や校則というものである程度拘束力がありますね。また、習慣上、毎日出社、登校して所属意識第一位のひとたちの集合体でもあります。目的も「利益を出す」「サラリーもらう」「教育する」「受験に勝ち抜く」「社会人に向け必要な技能を身につける」などと比較的明確なのでぶれません。

ところが、NPOだとか組合、任意団体だとか副業メンバー主体で構成された株式会社、社団法人や愛好会的なものは一般的な会社や学校ならあたり前の「所属意識」やら「目的」やらもぶれやすく、その結果、責任が曖昧になってしまい、なかなか運営がうまくいかないということが発生します。

これを解消し、目標のペースで事業なりを進めるにはいくつか解決方法があります。ひとつは、ガバナンスの再確認、構築です。

どのような団体でもステークホルダーがいると思いますが、例えばNPOなら会員、理事、理事長、事務局長、事務職員、ボランティア会員、受益者、行政などなどがそれにあたります。それぞれの役割を明確にした上で、

・会員総会で選任された会員の代表者が理事である
・理事会で選任された役付き理事が理事長である
・理事会で委託された業務を実行するのが事務局長である
・事務局長が採用したのが事務職員である
・理事会で事務局長の報酬などを決定する

などをきちんと順序だって確認する必要があります。けっこう曖昧なままが多くって、「なんちゃって理事」とか「責任薄い理事長」がはびこる原因になります。きちんと会員総会での決議事項、理事会での決議事項、理事長・事務局長への委託事項をおさらいしないといけないですね。そしてそこに書かれていることを実行する気がない人、責任持てない人には去ってもらい、機能するガバナンスを再構築せねばなりません。その上で、リーダーが誰なのかを明確にして(名誉職的な理事長とかも多いですからね)、そのリーダーがリーダーたる動きのできる体制であることを再確認しましょう。リーダー不在はもっとも危険です。リーダーがリーダーとして振舞う理由を確認する作業が以上のプロセスと思ってもかまいません。

書いてて自傷行為のような気がしてきました(笑)。

(って、長くなったので続く・・・)

芸術士のいる保育所

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高松市では、今年三年目となる「保育所への芸術士派遣事業」を実施しています。僕もお手伝いしているNPO法人アーキペラゴが委託をうけて実行しているのですが、その報告展が今週末の日曜日の13時まで高松市美術館で開催されています。

芸術士のミッションなどは下記のサイトにまとめられていますので、ぜひご覧ください。

芸術士のいる保育所

芸術士は、子どもたちの無限の可能性を信じ、子どもたちの感性と創造力を最大限に引き出す手助けをします。それは、あれこれと指示することではなく、子どもたちを見守り、励まし、豊かな感性を育てていくことです。

昨日、この報告展にあわせて、岡山にある一般社団法人レンドウの企画で視察の方々が高松に来られて、僕もご一緒しました。

午前中は実際に芸術士が活動している保育所を訪問し、様子を見学。子供たちとも短時間ですが触れ合う時間をいただきました。保育所内が建物の外も中も「アート!」に満ち溢れている様は圧巻。

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全長4m近い壁掛けの大作。木の床の上に続いている色とりどりのライン。庭の木にぶら下がっている激しい色に塗られた椅子。この作品が生まれたプロセスを想像するだけで微笑んでしまうような空間です。内面からの「~したい!」という感覚が結果的に目の前の形になったのでしょう。迫力に圧倒されます。

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報告展はじっくり見るには1時間は必要なほどの充実です。作品、写真のひとつひとつがいとおしさに溢れています。クスっと笑えるものから、唸ってしまうものまで。つい会場内の同行者を捕まえて、

「これ、すごいですよね。」

というように気持ちを共有したくてたまらない感覚。「いいね!」ボタンがあったら全部の写真に押していたかもしれません。

人間と芸術の距離感というものをあらためて感じさせてくれる時間になります。

報告展を堪能した後、アーキペラゴのオフィスで芸術士と事務局、視察された皆様とで交流会を開催しました。

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印象的な言葉がいくつか流れました。

こんな大人もいるんだなと思ってくれるだけでいいんですよ(芸術士、Mさん)
高松市は、10年先の未来を見て戦略的に幼児教育を実施しているのではないですか?この子達が16歳になりはじめる10年後からは高松は恐ろしいほどの競争力を備えた街になることが実感できましたよ。対岸の岡山の人間として危機感を感じます。(岡山、Kさん)
結果としての作品だけでも既に売れるレベルのものがたくさんありますね。プロセスの面白さを考えたらほんと素晴らしい時間が育まれていると実感します。(岡山、Fさん)

子供たちがパワー全開、あるいはものすごい集中力で何かを創作している様子(しかもその集中力は伝染するのです!)、心の底からの笑顔や、興味津々の瞳を見ていると、ほんと嬉しさを感じます。と、同時に懐かしさを感じるのです。そしてなぜだか涙が出てくるんです。昨日は朝から夕方までずっと涙ぐんでいたと思います。

この感覚はなぜだろう。僕が理想と思っている子供たちの時間がそこに実現して流れていることへの安心感でしょうか。しかしほっとしつつもドキドキする。

僕たちが子供の頃にやっていたことが、ここで実現してますよね。(岡山、Fさん)

未来への閉塞感の中でついあきらめがちになっていることがたくさんあります。ところが、目の前の子供たち、報告展での子供たちの写真がそんな大人への警告を出しているのではないかと感じました。

「あきらめてるばあいじゃないぞ。」

そんないろんな感情が僕の涙になったのかもしれません。

素敵な子供たちと素敵な保育士さん、そして素敵な芸術士のジョイント活動が続いて行く限り、高松市の未来はサンサンと輝いているなぁとあらためて実感しました。

NPOはスロージョグで

前回の、

NPOこそ資金繰り表が重要

では、次に試算表の話へと書きましたが、今回は少しずれて別のことを書きたいと思います。毎々ですが(笑)

経営主体、運営主体があいまいになりがちなNPOや社団法人。これまで述べてきたような体系整備を進め、各指標を見ながら、ミッション、目標に向けた体制を構築することが必要です。

ところがけっこう多いのが、そういう整備をする前に事業領域が拡がり始め、なんとか助成金取れたのであわてて常勤職員を雇用して乗り切ろうと言うケース。翌年度も同様の事業をよく検討しないまま惰性で実施し、あらたな助成金などでまた事業領域が拡がり・・・。振り返ってみれば、申請書と報告書を書くことばっかりでミッションに向ってるんだかなんだかよくわからない・・・というようなことはないでしょうか?

この過程で発生するのが固定費の増大です。常勤職員が増えれば固定費も増えます。人が増えたら事務所なども広いとことへ移りたくなるでしょう。安いプリンターでしのいでいたのを大型の複合機をリースで導入したり、中古だからと車を調達し駐車場代が発生し。

僕が関わっているところでも既に抑えるに抑えられない固定費増加があり、大いに反省しています。固定費を支払っていくために心を亡くして事業を回しているとも言えます。「責任がある」という事実なのですが、立ち止まって考えなおす必要性を感じます。

ミッションに向かって、じっとしている間もないぐらい進んでいかないといけない団体もあるでしょう。吉野川河口堰の反対運動などはまさにそうでしたね。

ただ、ミッション達成が差し迫ったものではなく、一直線の道が見えていないような場合は、NPO、社団法人はゆっくりゆっくりじっくりじっくり進んでいくのがいいのではないかと最近思います。(株式会社でも同様です) 不確実性の高い時代に、アクセル踏み続けるのは危険です。特に固定費をとにかく抑えること。プライドを捨てて、身の丈を少し下回るぐらいの体裁で進んでいくのがいいんじゃないかと思います。事業領域を思い切って絞ることも重要だと思います。会員、理事、事務局のみんなが穏やかに楽しくゆっくりと歩んでいけるスピードで。

そう、スロージョグで行きましょう。

NPOこそ資金繰り表が重要

前回の、

NPOの経理処理

を着実に実行していれば、例えば締め日から数日以内には、

・資金繰り表
・残高試算表
・借入一覧表

が完成するはずです。経営の観点で言えば、これらと、前回話題にした、

・支払いリスト
・入金予定リスト
・売り掛け未入金リスト

が揃えば、様々な判断が可能です。逆に言うと、これらが揃ってないところで、現場職員から理事が、

「あのー、次年度に向けた新事業の職員研修を受けたいので東京に出張に行ってもいいですか?」

と言わばささいな判断を求められた時でさえ、少なくとも俯瞰的な考え方は頭の中にはないわけですから、迷いが出るはずです。まして、チャンスと思われるそのNPOの方向性にマッチした補助金申請の案内が行政から来ても、

「勢いでいっとこか!」

という判断になってしまうのではないでしょうか。

話を戻して、個別に見ると、

・資金繰り表

は、向こう12か月分ぐらいの、現金としての収入と支出をシミュレーションしたものです。フォーマットさえあれば理解できると思うので困ったら相談ください。株式会社などでは、売掛債権といっても、手形でさえなければ、翌月末、翌々月末あたりに入金があると思うので計算しやすいのですが、NPOが主として行政からの助成金、補助金、委託費用などで成り立っている場合は、先払いのケースもあるでしょうし、6か月分まとめて!のようなケースもあると思うので、これこそどんぶりにせず、きちんとした資金繰り表が必要です。

よくNPO内の会話で、

「この予算はまだあるから、使っても大丈夫!」
「その費用はどこからも助成金とかないので費用が出ません」

といった、支出がひも付き前提の会話が多いですよね。それ自体は、健全ではあるのですが、本来、お金をかけるべきところにお金がかけられず、ある案件では予算が余ってるのにさらに無駄を重ねて・・・というケースも見られます。これらも、案件単位のどんぶり主義になっているので、NPO全体として経営がどうなのかということが置き去りになっているのが問題なのではないでしょうか?

資金繰り表なんか作ったことがない・・・・。

というNPOさん、社団法人さんはせめて向こう12か月分は大至急作成しましょう。なにわなくとも作成しましょうぞ。

資金繰り表を作成していて、どうにも4ヵ月後とか、半年後に残高がマイナスになるようなことがある場合は、それに応じて、何か手立てを講じねばなりません。新たな事業を立ち上げ売上をあげるのか、新たな助成金を探すのか、寄付金獲得の営業をするのか、銀行に借入をするのか・・・。じっとしている時間はありませんよね。

と、長くなったので、試算表以後は次回に。

(続く)

NPOの経理処理

NPOこそミッションを明確に

の続きです。

財務データの準備と開示が大事なのはわかりますが、具体的にはどういう手順で準備を進めればいいのでしょう?

(参考)
NPOの財務データ

NPOの運営体制構築の道

というわけで、ミッション、目標が明確になりました。

NPOとはいえ、経理処理をずっとほったらかしで決算前に駆け込み処理というのがよくないことは当たり前ですが、じゃぁ、毎月締められてますかとなると「遅れ気味です・・・」というケースが多いですね。

会計ソフトに入力するってことも大事ですが、日々のお金の動きにも注意しておいて見えるようにしておかねばなりません。

日次として、

・支払いリスト
・入金予定リスト
・売り掛け未入金リスト

の3つは用意しておいて、日々更新をしておいたほうがいいでしょう。

支払いリストは引落、振込、現金がわかるようにしておいて、現金出納帳も把握しつつ管理します。売り掛け未入金リストは入金予定日に入金がなかったものをリストアップ、調査、入金確認まで管理する目的で活用します。一般的に販売管理ソフトで行うケースも多いですが、NPOなどの場合はどの程度売掛金が発生するかによって販売管理ソフトを使うかどうかわかれますかね。

次に、月次においては、

現金、預金、買掛金、売掛金、経費、給与、立替金、社会保険料、預かり金、借入金

などを対象に、各々領収書や通帳、請求書、売上伝票、給与明細などをもとに経理ソフトにできる限りタイムリーに入力していきます。給与に関しては給与ソフトを導入して連携させておいたほうがいいですね。

とにかく、この月次処理を溜め込まないことです。ここが滞留すると、財務データが日々遅れて、経営判断他に対して意味のない紙になってしまいます。

月末締めとするケースが多いと思いますが、入力作業はできる限り早く終えて、遅くとも翌月の5日ぐらいまでには終えることを目標にしましょう。ここのスピードが早いか遅いかがそのままNPO全体のスピードに影響が出ます。

どうしてもこのあたりに人を割けないという場合は、アウトソーシングの活用も検討が必要です。慣れたところは短時間でできることですので、案外安価に対応してくれます。

NPOこそミッションを明確に

自分自身の為に書いている、「NPO/社団法人」向けのシリーズ。なんと問い合わせメールが来るようになりました。ありがとうございます。

財務データの準備と開示が大事なのはわかりますが、具体的にはどういう手順で準備を進めればいいのでしょう?

(参考)
NPOの財務データ

NPOの運営体制構築の道

ミッション、目標策定、戦略策定は終えているという前提でいいでしょうかね。

・・・・・・。

これがけっこう曖昧なままというNPO/社団法人さんが多いのが実状ではないでしょうか?

会議などに参加していて、枝葉末節がどんどん伸びて収拾つかなくなるのでたまに質問することがあります。

「そもそも、この団体の目標ってなんなんですか?」

すると、なんとなく「ふーん」という中身は返ってくるのですが、説明してくれている理事の方も今ひとつ自信なさげ。あらためて定款の目的を読み返したり、設立時の趣意書を掘り出してきても、

「へぇー、こんなこと書いてたんや。そうそう、これこれ。」

というなんとも骨身に沁み込んでいないことが多いです。設立時に想いが軽かったとは思いませんが、設立準備の諸々で奔走しており、じっくり練ったケースはまれな上、経年の中で曖昧化していってるケースが多いようです。

僕が参加しているNPOでも、

「目標、やりたいことなぁ・・・。もう一回理事長のMさんに語ってもらわないかんですね。」
「そうそう。再度意識を強めたい。」
「できれば短い文章で残しておいてくれません?(笑)」

ということもありました。

経営主体、運営主体が曖昧になりがちなNPO/社団法人だけにより一層、「何のために」の部分を明確にして、ウェブサイトに大きくわかるように書いておく、会員向けのメールでは毎回トップに載せておく、会員の手元に保存してもらえるようなカードを配るなど必要かと思います。

株式会社は、利益を出して雇用者が安心して働けるよう永続する・・・というような、どの会社にも概ね当てはまるミッションのひとつがありますが、それでも、「何のためにこの会社はあるのか?なんのために苦労して創業したのか?」を説明する、経営理念やビジョン、ミッションを明確にしておかないと困った時に冷静に立ち戻る場所がなくなります。

NPO/社団法人の場合は、この点さらに重要です。ボランティアを動員するようなことも多いと思いますが、「なんのために?」が曖昧なままでは共感は得られません。手弁当になってしまっている理事などはなおさらでしょう。

ミッション、目標などは多くの関係者で検討するケースと、誰かがまずは起草し、この指とまれとするケースと二つあります。

いずれにせよ、あまりここでも曖昧な抽象的なものは避けたほうがいいように思います。掘り下げて、掘り下げて、より明確に、より狭く、より具体的にしたほうがいいのではないでしょうか?範囲を広げたりするのは、初期のミッションが達成してからでいいでしょうね。

地球のことより、目の前の川

って感じで狭くしていいんだと思いますよ。エリアを狭くするだけでなく、対象年齢を狭くする、対象業界を狭くする、手段を狭くするなどいろいろ考えられると思います。

財務データをはじめとした、経営主体を明確にしていく作業の前に、まずはミッション、目標だけでも明確にしましょう。


というわけで、ご質問へのストレートなご返事は次回・・・。

NPOの財務データはぜひオープンブックで

NPOの財務データをとにかく透明化することが運営主体をはっきりさせることの第一の手順だと以前に書きました。

NPOの財務データ

これは理事などNPO/社団法人の経営側にとっても重要なのですが、専従か非常勤か関わらずスタッフとの信頼関係構築にも欠かせません。

助成金や行政からの委託費、寄付金、借入金など一般になじみの少ないパターンのお金を取り扱うことも多いので、NPO/社団法人の理事の中には、「そういう数字は職員には公開しないほうがいいのでは?不安に思われたらいけないし、使い道の説明も難しい」というご意見の方も多いです。

実際にそういう曖昧なまま進めるほうが波風たたないというケースもあるかもしれませんが、本当はできるだけ公開(オープンブック)していくほうがいいと考えます。

職員の方々も経営主体の構成員として積極的に参加してもらうべきです。決算時の数字だけ知らせるのではなく、普段の試算表や資金繰り表、借入金額残高などを共有し、目標に向ってみんなで進んで行きましょう。

非公開にして、噂話がはびこるほうがマイナスの影響多いと思います。

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